2014年08月26日
今なぜNPO法人への財務支援を見直すの?
代表の井ノ上です。
公益活動をしている法人への財務支援の見直すという動きがあること、皆さんご存じだと思います。
しかし、認定NPO法人に関わる税制改革はほんの2年前に行われたばかりです。どうして実証もできていないうちに、見直しの方向性が出たのでしょうか?
NPOの税の優遇措置が見直しに?
2012年4月施行のNPO法改正に大きな力を発揮したNPO法人シーズ(市民活動を支える制度をつくる会)から「NPO法人制度・税制度に関する要望書」を出すので賛同してほしいと5月末に連絡がありました。
さっそく近隣のNPO法人に、「認定NPO法人の大きなメリットである税の優遇措置の見直しが検討されているので声を上げましょう」というメールをばたばたと送りました。
その呼びかけに多くの法人が応えてくださり、シーズでは全国から集まった433法人の賛同をうけた要望書を6月18日、超党派で構成されているNPO議員連盟に提出しました。
*ただ今賛同NPO法人募集中: NPO法人制度・税制度に関する要望書(シーズの署名サイト)
税収のためにNPOがターゲットに?
NPO法改正によって認定・仮認定法人が全国でやっと660を超えました。そんな矢先、認定NPO法人になるべく準備を進めてきたN-Pocketとしても、①みなし寄付金、②企業の寄付金損金算入特別枠、③寄付金の税額控除という財務支援の見直しは、制度の後退で資金調達に関わる大きな痛手。
これは、政府が35%程度の法人税率を来年度から数年で20%台への引き下げを決めたことに端を発します。税率を10%引き下げれば、税収全体の1割に当たる約5兆円の減収ですが、それに代わる具体的な財源をどうするのか?の議論は、年末に先送りされました。
これらの税制優遇措置の見直しは、その余波を受けての動きなのです。
①みなし寄付金と②寄付金損金の算入特例は、租税特別措置法が根拠になっているもので、合わせて104億円(2012年度)がNPOの財務支援にまわりました。
5兆円に対し、ポチャンという音にしか聞こえない割合ですが、NPOセクターの当事者にとっては少なからぬ額です。
競争条件の平準化のため?
③寄付金の税額控除については、「公益法人等への課税の見直し」に絡んで出てきたものです。
介護保険や自立支援法に関わる分野では、営利法人と、公益法人である社会福祉法人やNPO法人が競合しています。しかし、同じサービスを提供しているのに、社会福祉法人には施設建設等に大きな補助金が出ますし、収益に対する課税額も法人格によって大きく違います。また、介護施設でも社会福祉法人や認定NPO法人が運営している場合には、寄付されやすいように寄付金の税額控除制度がありますが、株式会社が運営している場合は税制優遇措置がありません。
そこで、イコールフィッティング(競争条件平等化)をはかるべき、という意見が出て、公益法人等への課税の見直しとなったのです。
しかし、公益とは何かとの議論も十分されていませんし、結果としてのサービスが同じでも非営利と営利の運営プロセスは違っています。例えば、社会福祉法人は行政庁の強い管理下にありますし、非営利の公益法人は事業収益をミッションへの再投資に限定されています。一方、営利企業は利益処分の方法は自由。さらにサービスの参入・撤退も自由なので、撤退後にサービス難民が生まれやすい現実があります。税制を変えることで「平等化」できるものではありません。
このように、今回のNPOへの財務支援の見直し問題を考えるにあたっては、その裏に現政府が企業支援にますます軸を移していることの影響だということを知っておく必要があります。
公益活動をしている法人への財務支援の見直すという動きがあること、皆さんご存じだと思います。
しかし、認定NPO法人に関わる税制改革はほんの2年前に行われたばかりです。どうして実証もできていないうちに、見直しの方向性が出たのでしょうか?
NPOの税の優遇措置が見直しに?
2012年4月施行のNPO法改正に大きな力を発揮したNPO法人シーズ(市民活動を支える制度をつくる会)から「NPO法人制度・税制度に関する要望書」を出すので賛同してほしいと5月末に連絡がありました。
さっそく近隣のNPO法人に、「認定NPO法人の大きなメリットである税の優遇措置の見直しが検討されているので声を上げましょう」というメールをばたばたと送りました。
その呼びかけに多くの法人が応えてくださり、シーズでは全国から集まった433法人の賛同をうけた要望書を6月18日、超党派で構成されているNPO議員連盟に提出しました。
*ただ今賛同NPO法人募集中: NPO法人制度・税制度に関する要望書(シーズの署名サイト)
税収のためにNPOがターゲットに?
NPO法改正によって認定・仮認定法人が全国でやっと660を超えました。そんな矢先、認定NPO法人になるべく準備を進めてきたN-Pocketとしても、①みなし寄付金、②企業の寄付金損金算入特別枠、③寄付金の税額控除という財務支援の見直しは、制度の後退で資金調達に関わる大きな痛手。
これは、政府が35%程度の法人税率を来年度から数年で20%台への引き下げを決めたことに端を発します。税率を10%引き下げれば、税収全体の1割に当たる約5兆円の減収ですが、それに代わる具体的な財源をどうするのか?の議論は、年末に先送りされました。
これらの税制優遇措置の見直しは、その余波を受けての動きなのです。
①みなし寄付金と②寄付金損金の算入特例は、租税特別措置法が根拠になっているもので、合わせて104億円(2012年度)がNPOの財務支援にまわりました。
5兆円に対し、ポチャンという音にしか聞こえない割合ですが、NPOセクターの当事者にとっては少なからぬ額です。
競争条件の平準化のため?
③寄付金の税額控除については、「公益法人等への課税の見直し」に絡んで出てきたものです。
介護保険や自立支援法に関わる分野では、営利法人と、公益法人である社会福祉法人やNPO法人が競合しています。しかし、同じサービスを提供しているのに、社会福祉法人には施設建設等に大きな補助金が出ますし、収益に対する課税額も法人格によって大きく違います。また、介護施設でも社会福祉法人や認定NPO法人が運営している場合には、寄付されやすいように寄付金の税額控除制度がありますが、株式会社が運営している場合は税制優遇措置がありません。
そこで、イコールフィッティング(競争条件平等化)をはかるべき、という意見が出て、公益法人等への課税の見直しとなったのです。
しかし、公益とは何かとの議論も十分されていませんし、結果としてのサービスが同じでも非営利と営利の運営プロセスは違っています。例えば、社会福祉法人は行政庁の強い管理下にありますし、非営利の公益法人は事業収益をミッションへの再投資に限定されています。一方、営利企業は利益処分の方法は自由。さらにサービスの参入・撤退も自由なので、撤退後にサービス難民が生まれやすい現実があります。税制を変えることで「平等化」できるものではありません。
このように、今回のNPOへの財務支援の見直し問題を考えるにあたっては、その裏に現政府が企業支援にますます軸を移していることの影響だということを知っておく必要があります。
Posted by ぽけ子 at 13:53│Comments(0)
│NPO考現学