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2012年12月03日

寄付金はどのくらい集めているのかしら?

代表の井ノ上です。
2011年度浜松市民活動フォーラム開催事業における調査活動より「浜松のNPO法人の現状」を、会員の皆様にはニュースレターでご報告していますが、その中から寄付に関わる記事をブログにアップしますね。

■ 寄付金で支えられるNPOの役割とは

2011年6月の税制改正で「3000円以上の寄付者が100人」というわかりやすい基準が認定NPO法人のPST(市民からの支持度)要件として新しく導入されました。
そのような背景もあり、今でこそファンドレイジングセミナーが数多く開かれるようになっていますが、皮肉なことにNPO法ができてからの日本は、経済的に余裕のない社会であり、「NPOも自立を」という掛け声が、公共を営利で行う社会的企業や、対価性のある事業を生み出せるNPOの誕生ばかりを促すかのように作用してきた気がします。

NPOの役割が、①自分たちの街は自分たちでデザインするという「市民参加の促進」、②ニーズの発見と解決のためのサービスを開発する「社会サービスのパイオニア」、③社会のセーフティネットを維持する「社会サービスの提供」、④公益であるニーズを社会への声として届ける「アドボカシー」の4つがあると考えられます。
「新しい公共」という言葉が肥大化し、東北大震災の復興については、自助共助の声が安易に大きくなっている現象にも注意を要しますが、自立支援法など制度化されたサービスや子どものスポーツクラブなど市場性のあるサービス以外の、例えばアドボカシー活動や人権を守る活動など受益者から対価が得られない活動を継続させようと思っているNPO法人にとって、市民からの支援金、つまり寄付金収入は非常に重要なものになっています。

■ 浜松の寄付金事情

こうした活動を行うNPOは慢性的に資金不足に悩んでいるのですが、果たして心強い市民の支えである寄付金は浜松市内に拠点をもつNPO法人の収入源に対し、どのくらいの割合を占めているのでしょうか。

図表

浜松市内に拠点をもつNPO法人の会計報告書を読み取ったところ、寄付金収入は2008年度のおよそ1億600万円に対し、2010年度は2億円を軽く超えていました。この年に一認定NPO法人に1億4千万を超える遺贈があったことがその理由です。従って、2010年度の寄付金収入の割合は全体の7%に上ってはいますが、2008年度や9年度の約4.5%前後という割合が実際のところではないかと推察されます。全国的なデータと比較して、この寄付金収入の割合はかなり低いと考えられます。

また、以下のグラフを見て分かるように、法人全体の約6割は全く寄付金収入がありませんが、それについては全国的なデータと類似しています。寄付金が集まらない、というより、NPO法人自体が集めていない実態もうかがわれます。現に当センターが行った認定NPO法人に関わるセミナーに参加した団体にアンケートを行った結果、大半の団体が寄付を集める努力を「全くしていない」、「寄付の実績ゼロ」という回答でした。

図表

赤十字や共同募金の「義援金」の他に、NPOやNGOへの「支援金」という形が増えてきたのは、悲しいことに大きな2度の震災が人々の意識を変えたことが契機となっていますが、このように、小さなNPOも社会づくりのアクターであるという社会的な認識も高まり、従来見られた大きな政府系の公益団体等に流れた寄付は今、市民が担う活動を支え始めています。みなさんのNPOセクターに対する力強い支援を期待します。              


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