NPO法人会計調査~「NPOが儲けていい」のはどんな時?

ぽけ子

2016年01月05日 15:10

事務局長の小林です。
N-Pocketは1月5日から仕事始め。2016年もどうぞよろしくお願いします。

年末は12月22日は一日、内閣府のNPOポータルサイトで公開されているNPO法人の会計報告を見ながら、NPO法人会計の調査を行いました。
NPOサポートしみずの磯谷さん、コラボりん湖西の神谷さんも一緒に、あーだこーだ言いながら見ていきました。


大分減りましたが、設立の古い団体はまだ「収支計算書」のままのところも。
自治体によっては、タイトルを「活動計算書」に書き直させて提出しているケースも。
タイトルは「活動計算書」でも、中味は収支計算書のままだったり、就労支援事業会計だったり。
貸借対照表と数字があってない、という団体も複数。

「事業報告書なんて行政が受け取りさえすればいい」と思っていませんか?
これ、Webで全世界に公開されているんですよ~~?
助成団体や寄付者が見ることも意識した方がよいかと…。

「行政の指導がなってない!」という方もいますが、
NPOが行政に監督される関係性は基本的にありません
必要最小限の3つだけに限定されています。
所轄庁は「監督庁」ではなく、あくまでも行政手続きの窓口なので、間違った報告書であっても指導はしません。書類を受け取る際に、いいかげんな報告書を出すような団体なんだと、思われるかもしれませんが。

NPOセクターの信頼性を高めるために、市民同士で自律的に動いていきましょう、ということで公開されているデータを元に、全国で実態調査をしているわけです。


NPO法人の「収益事業」とは?

NPO法における「特定非営利活動に係る事業」「その他の事業」法人税法における「収益事業」「非収益事業」 は別モノです。
「特定非営利活動に係わる事業」の中にも収益/非収益事業があって、収益事業には基本的に法人税がかかります!

「NPO=儲けてはいけない」と誤解する方も未だにいますが、
非営利とは「利益をメンバーに分配しない」ということ。 ←株の配当がある営利との大きな違い
法人の目的(公益、社会的使命)に叶うものであれば、どれだけ儲けてもOK!
ただし、その利益は、法人の「特定非営利活動に係わる事業」に再投資しなくてはいけません。

「NPOってスタッフに給料払えるんですか?」と聞かれますが、給与は「労働の対価」であり、経費なので「利益の配当」には当たりません。でも、「今年は儲かったからボーナス上乗せするね~」というのはNGになります(予め決めたボーナス額ならOK)。

また、例えば国際協力をしているNPOがフェアトレードのショップやレストランを経営して普及啓発するのは、「特定非営利活動に係る事業」であり「収益事業」に該当します。社会教育や子どもの健全育成を目的とするNPOが、不登校やひきこもりの子どものための学習塾を開くのも同様です。
でも、法人が目的とする社会的ミッションとは関係ない、空き家を貸して収益を得るような場合は、「その他事業」の「収益事業」に該当します。

ただし、公益目的でない「その他の事業」は、あくまでも従たる事業=副業であって、本業にしてはいけないという制約があります。
つまり、「特定非営利活動に係る事業」>「その他の事業」。
また「その他の事業」で稼いだ利益は、公益目的(特定非営利に関わる事業)に使わないといけません。

「収益事業」の分類についてはこちらに詳しく掲載されています。例えば、自治体からの委託事業は「請負業」に相当します。

自分たちのやっている事業が、どれが「収益事業/非収益事業」で、どれが「NPO本来の事業/その他の事業」なのか、もう一度見直してみてはいかがでしょうか。気づかないまま、税金払ってなかった/払い過ぎていた~! なんてことがあるかもしれません。


NPOの会計については、3月6日(日)13:30~16:30に浜松市福祉交流センターで
「NPO会計入門&会計ソフト講座 ~会計のお悩み解決!~」講座をやりますので、ぜひご参加ください。

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