遠距離恋愛彼女の決断

ぽけ子

2014年12月19日 18:52

多文化共生担当の小林です。
今年は大変遅くなってしまいましたが、「高校進学ガイドブック」6言語のPDFを先日アップしました!
外国をルーツとする子どもと保護者のため、やさしい日本語(ルビつき)、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、英語、中国語で翻訳しています。

進学や高校についての情報は毎年少しずつ変わるので、県教委と私学振興課に変更点のチェックをお願いしています。市立高校の情報や福祉基金、奨学金などはそれぞれの担当者に問い合わせます。
今年は高校の授業料無償制度がなくなり、「高等学校等就学支援金」に替わったので、その制度をわかりやすく説明するのが、めちゃくちゃ大変でした

この制度、複雑すぎて日本人の私でも読み解くのに骨が折れました。バキバキっ
だいたい支援対象が「市町村民税所得割額が304,200円以下の人」とありますが、自分がどれだけ払っているか、すぐわかる人ってどれだけいるのでしょうか…?

実質は年収約920万円以下が該当するので、9割ぐらいの生徒が支援対象になるそうです。
誰だよ!この制度作ったの?! と何度叫んだことか。
神奈川県のNPOと三重県が翻訳したものを参照して、なんとか資料をつくりました。
複雑かつ申請に手間がかかるので、支援を諦めてしまう生徒が出てくるのでないか心配です...。
支援者の方には、この申請についてもサポートしていただけたらと思います。

また「記載する」「…に準じる」「異なる」「支給する」といった普段会話では使わない用語は、非ネイティブにとって理解が難しいので、「書く」「と同じ」「違う」「払う」という日常よく使われる単語に直しています。

で、日本語版ができたら翻訳をお願いし、帰ってきた翻訳をチェックしますが、全ての言語が分かるわけではないので、翻訳ソフトに放り込んで、翻訳漏れがないかを確認します。

んで、ポルトガル語の「通信制」curso a distância を入れたところ…

「遠距離恋愛彼女の決断」 

と訳されました。な、なぜに遠距離恋愛???

翻訳をお願いしている方たちは、教育現場や支援現場で活動している(いた)人で、「文法的に正しく、日本語を漏れなく訳す」より、保護者にきちんと伝わることを最優先させ、意訳したり、逆に説明を加えたり、難しい単語は日本語も併記したり…色々配慮もしているんです。

しかし毎回、部分的に翻訳を足したり修正したりを、毎年違う人が手を入れるので、全体で見るとページによって翻訳がちぐはぐになっている状況も出てきます。決まった単語は統一させたり、結構翻訳チェックが大変なのです。
私のポル語の先生に「保護者として意味がわかる?」と資料を見せたら、大量に修正が入り、教育支援団体のブラジル人に協力していただき、バラバラに訳されていた単語や意味が伝わらない文章を大幅修正しました~。

そんな地味~な作業の積み重ねでこのガイドブックを作っています。
この事業はNPOの自主事業で、行政からのお金はまったく頂いていません。今年も三井物産株式会社さんからの寄付で作ることができました。
関係者の皆様には深く御礼申し上げます。ありがとうございました。

当事者、支援者の方は、子どもたちの未来のためにどんどん活用してください!
感想などお聞かせいただけると嬉しいです

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