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2014年10月08日

行政・NPOのWin-Winな委託・協働をめざして

事務局長の小林です。
10月4日は静岡県労働者福祉基金協会が主催、N-Pocket企画のNPOプレゼント講座「西遠NPOのCEO会議2014」を開催しました。
12のNPO法人から代表や理事が15名、任意団体が2団体、市や県のNPO担当者、市議会議員、オブザーバーも含めて25名が集まりました。
今回のテーマは「委託・協働」ということで、まず私、小林から浜松市のNPO法人と協働事業の現状、委託と補助の違い、NPOの財源などについて紹介しました。

次に、各団体の自己紹介を挟んで、「浜松市市民協働推進協働条例」について当時、市民協働委員で条例の策定に関わったNPO法人浜松子どもメディアリテラシー研究所代表の長澤さんに、この条例にこめた意図について解説していただきました。
協働条例
この条例では市民や市民団体、事業者や市の「権限と責任」が明記されています。NPOにとって大事な内容もあり、長澤さんいわく、「行政の担当者に条例に書いてあるよ!、と協働を促すツールスパナとして活用してほしい」とのことでした。
この条例の存在を初めて知った!という方も多かったですが、市のホームページに詳しい解説も出ているので、ぜひ一度ご覧ください。

委託・協働の課題については、3つの団体から事例紹介をしました。
任意団体の「ふれあいサポートネット ふわっと」代表の榊原さんが、中学校や高校に乳幼児親子を派遣してふれあい体験をする「だっこでギュッ!ハート」について紹介。
ニーズが年々増えて、委託の枠組みではニーズに応えきれない悩み、それでも「荒れた学校ベー」と言われた中学校の生徒たちが明らかに変化キラキラしていく手ごたえ力こぶも語られました。
ふわっと

NPO法人遠州精神保健福祉をすすめる市民の会は、国や市の委託事業を多数行っているNPO。事務局長の加藤さんから、委託を受けるメリットとして、1)団体の活動理念に基づいたミッションの遂行や2)社会的信用の獲得、3)新たな課題発見があったとのこと。
その一方で、国の事業は時の政権に左右されて事業費が大きく変動すること(時にはゼロ査定も!ガーン)、委託費の使途が限定され、福利厚生や家賃、経理や税務・労務管理の費用ねん出に大変苦労していることえーん、1年契約の事業で若い人材、優秀な人材を確保することの難しさあせるが語られました。

E-JAN
委託事業で人を雇用している団体は、多かれ少なかれ同じような悩みを抱えているのではないでしょうか…。

N-Pocket代表の井ノ上からは、静岡県西部障害者マルチメディア情報センター(ICTバリアフリーオアシス)の事業で、委託事業に並行して現場からのニーズを自主事業パソコンとして立ち上げ、そのモデル事業が新たな協働事業チェリーに発展する、というプロセスを紹介しました。


後半は、2グループに分かれてディスカッション。
「委託・協働の参入を考えよう」グループでは、NPOの活動資金や助成金、自主事業収入、指定管理の評価などが話題になりました。
NPOの事業評価では、参加者数や来訪者数といった数や費用の安さだけで評価されるのでなく、個人の変化や事業の質といった「NPOならではの評価軸」も提案していきたい、という話も。
NPO全体の信頼度クローバーを上げるためには、会計報告をきちんと出すなど、NPO同士で足を引っ張り合わないようにという話も出ました。

また、介護保険制度の改正などで、「共助」がより推奨されているけれど、本来「公助」でやるべきことまで共助にされてないか?サービスの質が下がるのでないか?下降という懸念の声もありました。

こうした話し合いから「協働のルール作りりんご」もNPOのネットワークを生かして声をあげていきたいね、という意見も出ました。これは、まさに昨年のCEO会議のテーマでもあった「交流を超えるネットワークづくり」の小さな一歩を踏み出せたかも!ですよね。
ディスカッション

「委託・協働の経験を語ろう」グループでは、「行政担当者が替わる度に、引き継ぎに苦労する」との話。市の担当者の方いわく「行政の引き継ぎは基本的に事務鉛筆のみで、思いハートまで引き継ぐのは難しい」。でも、思いまで引き継ぐと、特定の団体との関係が固定化されてしまうというデメリットもあり、だからこそ行政職員の異動があり、ジェネラリストである行政職員に特定分野の専門性を求めるのは無理がある…ということに、一同「なるほどねぇ~」

県の担当者からも「行政の担当者が替わることを担保するために市民協働条例がある」と。(→第9条の「参画の機会」では情報共有や参画の機会がポイント) NPO側としては、事業の経緯や目的、目標について丁寧に担当者に説明していく必要がある、という結論に。

次の委託を受けたいがために、行政の言いなりになってしまわないか?えーという疑問に対しては、言うべきことは言う!、でも対立関係VSになってしまうと手をつなぐ関係には戻りにくいので、本来の目的を達成するためには頭を使う電球、という意見もありました。

年々予算が減っていく中で、どの事業にどれだけ税金を投資するのか?という綱引きも必要になってきますが、議員と連携するだけでなく、パブリックコメントを出す、各種審議会・委員会に公募で入る、政策提言などの手法で、施策の中に文言、キーワードを盛り込もう注目、という話も出ました。
浜松男女共同参画推進協会からは、先日の浜松市の新・総合計画のパブコメに関係団体の意見を集約して出したという事例が紹介されました。

はままつ夢基金に登録したけれど、直接寄付するのと何が違う?」(基金は市民協働条例の11条に規定)、現在25団体登録されていて…という基金お宝のメリット・デメリットについての情報交換もありました。

委託・協働の情報収集については、国や自治体の施策の動向をキャッチ電波することも大事。行政のレビューや関連官庁の概算要求、委員会で誰がどんなことを言ったかをチェックする、2~3年先を考えるには、特に国の動向や、予算の作られ方を知っておくといった話も。
そういった流れをいち早く掴んで、予算の算出根拠も書いて事業提案プレゼントをしたという団体もありました。だいたい9月に予算を計上するので、それまでに事業提案を出せば検討されやすいとのことです。

市と県のNPO担当者、議員の方も参加されたことで、お互いの相違を知り、改善するための経験、考え方、アイデアが色々出てきました。苦労が尽きない部分も多々あるけれど、こうやって課題共有+連携することで、「Win-Win」のよりよい公共サービスを実現していきたいですね!

10月の週末は楽しいイベントくす玉が多々ある中で、真面目な堅い会議に来てくださり、参加者の皆様には本当にありがとうございました。

次回のプレゼント講座は11月1日(土)に「議員と語る円卓会議」で引き続き議論を深めていきたいと思います。よろしくお願いします。


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